今日僕はりんごの木を植える

Even if I knew that tomorrow the world would go to pieces, I would still plant my apple tree.

人材をもって城となす

 新型コロナの感染拡大に伴い緊急事態宣言が発令されて1か月近くが経った。感染者数の急激な増加は抑えられてはいるが、通常の生活に戻るまでにまだまだ時間がかかりそうだ。そして、この新型コロナは日本経済にも悪影響が出始め、政府が国民への10万円給付をはじめとして様々な対策を考え、打ち出し始めている。そのような中、与党の公明党よりこの新型コロナによって困窮するための学生に対する10万円の経済援助案が政府に提言されている。

困窮学生に10万円給付 文科相「早急にやりたい」(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

 私はこの案に大賛成であるが、ネットでは賛否両論のようである(以前の全国民10万円給付の時はネットの多くの意見が賛成だったことと比較すると今回は反対が多いように見える、主観だが)。反対意見を見ると、不況でバイトがないといっても選ばなければバイトはあるとか、勉強しないような学生に払うのはどうなのかとか、大学に行けているだけ困窮学生ではないと等だ。確かに理解できないわけではないが、どうも私はこのような意見に賛成できない、いや賛成したくないと言った方がよいか。なぜ私がそのように思うのかつらつらと考えてみる。

 まず、この学生に対する経済的支援の財源は税金であり、私たち国民のお金である。それゆえ、「不真面目で不勉強な学生に10万なんてもってのほかだ!どうせ酒や遊びで消えてしまう!やるなら優秀な学生に限定しろ!」と思っているのだろう。私もそのような思いがないわけではない。実際に給付型奨学金では成績による給付対象基準があったと思う(うる覚え)。ではなぜ私がこの案に賛成なのかといえば根本的に、国は平時からもっと学生を支援すべき、税金を学生のために投じるべきと考えるからである。

 少し話は変わるが、昨今少子化が進み、子供の数が減り、日本はこれまでのような勢いのある経済大国ではなくなりつつある。また、私個人としてはこのまま日本人が絶滅するまで子供が減り続けるとは思っておらず、いずれかの時点で減少から増加に転じると考えているが、いずれにしても当面の間(数十年ぐらい)は、この少子化は続くだろう。そのような状況下で可能な限り日本という国を豊かで住みよい国にするには、優秀な人材の輩出する以外に方法はないと考える(我が国は人以外の資源がない)。つまり、「人材をもって城となす」である。これまでは子供の数がある程度いたため、優秀な人材も一定数輩出できたが、このままでは少子化により優秀な人材の数は減る一方である。つまりこれからの少子化時代に優秀な人材の数を担保するには、優秀な人材の割合を引き上げていく以外にない(これまでが優秀と呼べる人材が世代の人口の1割であれば、今後はそれを2割、3割に増加させなければ優秀な人材の数を維持できない)。その割合を引き上げるためには、教育への投資が必要である。投資とは当たり前だが、利益が出る前に資金を投じることである。私は今回の経済的支援をそのような教育への投資の一環として捉えている。もっと言えば、日本国民が総じて若者、青年へもっと投資が必要だと考えを改めるためにも必要である。確かにこれまでは優秀な学生に投資していれば良い時代だった。しかし、これからは優秀な学生のみならず不真面目、不勉強な学生が少しでも真面目になり、勉強してくれるようにならなくてはいけない時代なのだ。そのために教育への投資が必要なのだ。彼らも自らにどれだけの税金がかけられているかを理解すれば少なからず勉強するようになるだろう。そして、少しでも優秀な学生、頑張る学生の割合が増えてくれれば良いのである。

 ここにきて野党も同様の学生支援の法案を打ち出してきた。なんとか今回の新型コロナを機に、国が学生に対する支援をより一層強化し、そして我々国民がその必要性を理解して、学生に対して支援の拡充が進むことを願っている。